研究テーマ
Research News Details
災害と生きる力
災害における人間の心と行動について様々な研究を行っています。
特に東日本大震災(2011)の被災者を対象とした調査で「災害を生きる力」の8因子(リーダーシップ・問題解決・愛他性・頑固さ・エチケット・感情制御・自己超越・能動的健康)を明らかにし、開発した質問紙尺度を用いて様々な調査、行動実験、心理・脳基盤の解明を進め、災害・一般教育への応用を目指しています。(質問紙の入手はこちら)
<質問紙尺度開発・応用事例>
災害を生きる力に関する聞き取り調査データの分析(佐藤他, 地域安全学会論文集, 2014)
災害を生きる力の8因子と質問紙【基礎論文】(Sugiura et al., PLoS ONE, 2015)
質問紙防災教育活用事例(佐藤他, 日本災害復興学会論文集, 2017)
生きる力質問紙の短縮16項目版 (Ishibashi et al., Geosciences, 2019)
<調査・行動実験>
感謝特性と生きる力(本多他, 地域安全学会論文集, 2018)
東日本大震災での津波避難と生きる力(Sugiura et al., Geosciences, 2019)
東日本大震災での津波避難時の共助行動と生きる力(Sugiura et al., PLoS ONE, 2020)
東日本大震災からの復興と生きる力 (Sato et al., J Disaster Res, 2021)
東日本大震災被災直後の問題解決と生きる力 (Sugiura et al., PLoS ONE, 2021)
生きる力「自己超越」とself-agency (Niikuni et al., Conscious Cogn, 2022)
生きる力「自己超越」の適応性と神経基盤(opinion論文)(Sugiura, Front Behav Neurosci, 2022)
小中学生対象の生きる力8因子再現性検討 (Matsuzaki et al., Front Public Health, 2022)
東日本大震災における自力住宅再建と生きる力 (Honda et al., Sustainability, 2023)
暑さ寒さへの反応の個人差多次元モデルと生きる力(Kawata et al., Front Behav Neurosci, 2023)
COVID-19パンデミックにおける対処行動と生きる力(Ding et al., Front Psychiatry, 2023)
デジタル化社会への適応と生きる力(Hamamoto et al., Front Psychol, 2023)
津波避難課題オンライン実験(Takubo et al., J Disaster Res, 2024)
Better-Than-Average効果との関係(Ding et al., Fron Psychol, 2024)
<脳研究>
生きる力「頑固さ」と他者意見検討時脳活動の負相関 (Miura et al., Social Neuroscience, 2020)
生きる力「問題解決」と想定外事象対応時脳活動の負相関(三浦他, HI学会論文誌, 2020)
生きる力「感情制御」と情動的画像への反応の負相関 (Sugiura et al., Front Behav Neurosci, 2023)
生きる力「愛他性」と利他的援助行動意思決定時の脳反応との負相関 (Wijaya et al., Front Psychol, 2023)
生きる力「リーダーシップ」と死関連単語処理脳反応との負相関 (Hirano et al., Front Psychol, 2023)
災害対応には適切な言語コミュニケーションと正しい行動選択が求められます。グローバルな現代社会では、これらのスキルが母語と外国語の両方で必要とされています。このような背景のもと、Tohoku UniversityとUniversity College Londonの言語学者と脳科学者が国際共同研究を実施し、災害状況における言語行動の思考過程をfMRIを用いて検証しました。その成果は、言語学分野でトップクラスのジャーナル「Studies in Second Language Acquisition」に掲載されました。本研究は、次の2点で世界初の成果を挙げ、分野を超えて大きな影響を与える可能性があります。 (鄭)
<言語学分野での革新>
本研究は、言語学と神経科学を組み合わせた新しいアプローチを用いて、自然なスピーチ生成時に脳内ではどのような認知処理が行われているのかを探る初めての研究です。特に興味深い発見は、スピーチ中のポーズの位置によって脳の思考過程が異なることです。
<災害研究での意義>
災害時の人間の言語行動選択が言語や状況の厳しさによってどのように変化するかを検証した世界初の研究です。従来のアンケート調査に代わり、自然なスピーチとfMRIを用いることで、より現実的な災害状況下で人間の脳内の思考プロセスがどのように変わるのかを検証しています。