研究概要詳細 Research outline 202108.05 安全運転の神経基盤(プレプリント公開) Posted in 研究 交通事故の多くは注意力散漫が原因であるとされています。これまで、ドライビングシミュレータを用いて運転時の脳活動を検討した研究は数多くありましたが、運転パフォーマンスとの関連はほとんど明らかになっていませんでした。また、シミュレータ環境に歩行者が配置されていませんでした。今回のfMRI研究では、歩行者の多い運転環境を作成し、運転の正確さ、先行車に対するブレーキ反応、横断歩行者に対するブレーキ反応という3種類の安全運転パフォーマンスの神経基盤を調べました。その結果、持続的注意などの実行機能に関わる両側の前頭頭頂ネットワークの活動は、高い運転精度と相関することがわかりました。一方、突然の歩行者の横断に先立って、社会的情報処理に関わる左上側頭溝後部および右上側頭溝前部が活性化していると、ブレーキ反応が遅くなることがわかりました。これらの結果から、運転の安全性を構成する要素には、異なる認知プロセスが関与していること、すなわち、運転の正確性には注意の維持が促進的に作用し、歩行者に対するブレーキ反応には社会的認知プロセスが撹乱的に作用することが示唆されました。本研究は株式会社デンソーとの共同研究として行われました。(大場) https://doi.org/10.31234/osf.io/7qsdy 添付ファイル 一覧へ戻る 前の記事 一覧へ戻る 次の記事 アーカイブ 月別 2024年10月2024年09月2024年08月2024年07月2024年06月2024年05月2024年04月2024年03月2024年02月2024年01月2023年12月2023年11月 年別 2024年2023年2022年2021年2020年2019年2018年2017年2016年
交通事故の多くは注意力散漫が原因であるとされています。これまで、ドライビングシミュレータを用いて運転時の脳活動を検討した研究は数多くありましたが、運転パフォーマンスとの関連はほとんど明らかになっていませんでした。また、シミュレータ環境に歩行者が配置されていませんでした。今回のfMRI研究では、歩行者の多い運転環境を作成し、運転の正確さ、先行車に対するブレーキ反応、横断歩行者に対するブレーキ反応という3種類の安全運転パフォーマンスの神経基盤を調べました。その結果、持続的注意などの実行機能に関わる両側の前頭頭頂ネットワークの活動は、高い運転精度と相関することがわかりました。一方、突然の歩行者の横断に先立って、社会的情報処理に関わる左上側頭溝後部および右上側頭溝前部が活性化していると、ブレーキ反応が遅くなることがわかりました。これらの結果から、運転の安全性を構成する要素には、異なる認知プロセスが関与していること、すなわち、運転の正確性には注意の維持が促進的に作用し、歩行者に対するブレーキ反応には社会的認知プロセスが撹乱的に作用することが示唆されました。本研究は株式会社デンソーとの共同研究として行われました。(大場)
https://doi.org/10.31234/osf.io/7qsdy