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202507.13 ジェスチャーはどのように第二言語習得を促進するのか:神経科学的視点から(国際学会口頭発表) Posted in 研究


人は日常的にジェスチャーを使っています。それはあまりに自然で、しかしながら不可欠なコミュニケーション手段です。母語における共発話ジェスチャーの研究はかなり以前から行われてきましたが、第二言語(L2)の習得や理解におけるジェスチャーの役割に注目が集まるようになったのは、比較的最近のことです。近年の行動実験では、ジェスチャーが視覚的な手がかりとして機能し、聞き手の脳内に運動的な痕跡を残すことで、発話内容の理解と記憶を助けることが示されていますが、L2の文脈における音声とジェスチャーの統合の神経メカニズムについては、いまだ明らかになっていません。

今回、私はこのテーマに関する私たちのチームのfMRI研究結果を発表する機会を得ました。我々の研究では、第二言語の発話内容の再生が、脳内の「マルチモーダル統合ハブ」とされる左後部中側頭回(left pMTG)の活動と正の相関を示すことが明らかになりました。発表後には、第一言語・第二言語両方におけるマルチモーダル・コミュニケーションに関心を持つ多くの参加者が熱心にディスカッションに訪れてくださり、大変ありがたく感じました。

もちろん、他のシンポジウムやポスター発表、口頭発表も非常に刺激的でした。真夏の松山での開催となりましたが、会場には研究への熱意と、知的交流を楽しむ空気が満ちていました。構文論や形態論、習得段階、語用論など、言語に関する多様なテーマが取り上げられ、非常に内容の濃い学会だったと思います。小規模ながらもコンパクトにまとまっており、研究者同士の交流も密で、実りの多い時間となりました。

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