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202509.05 第二言語記憶におけるジェスチャー効果の個人差:問題解決を支える脳の関与(ポスター発表) Posted in 研究

第二言語(L2)における理解および記憶に対するジェスチャーの効果は、個人によって異なることが明らかになってきています。今回の日本心理学会第89回大会では、「第二言語記憶におけるジェスチャー効果の個人差:問題解決を支える脳の関与」というタイトルでポスター発表を行いました。特に、問題解決能力の高い参加者は、L2聴解においてジェスチャーあり条件の方が、ジェスチャーなし条件よりも顕著に高い成果を示すことが明らかになりました。脳レベルでは、この効果は小脳(Lobule VI)の賦活と関連しており、そこは高次認知、タイミングに関わる処理、そして無意識的な多感覚−運動統合に関与する領域であることが示唆されました。

ポスターセッションでは、さまざまな文化的・学術的背景を持つ研究者たちと交流する貴重な機会がありました。私の研究は異文化間コミュニケーションに焦点を当てているため、異なる視点を持つ学者からのフィードバックは、非常に価値あるものでした。特に、ベルギー出身の研究者との印象深い対話があり、フレームスイッチングや性格特性のプライミングについて議論しました。言語的・文化的文脈によって、人々がノンバーバルな手がかりをどのように使い分けるのか、その可能性について深く考えるきっかけとなりました。

また、脳科学に携わる研究者との対話では、ジェスチャー処理における小脳の役割について洞察に満ちた議論を交わしました。彼は、ビート・ジェスチャーが、小脳の中でも特に離散的な運動タイミングに関わる領域の体積と関連しているという先行研究を紹介してくれました。これは、ジェスチャーが発話タイミングの調整に関わる小脳のタイミング機能を反映するものである可能性を示しています。この視点は、私自身の研究における「ジェスチャーが伴うコミュニケーション場面における小脳Lobule VIの関与」を再考し、解釈するための新たな角度を与えてくれました。

ポスターセッション以外にも、この三日間の学会は、まるで三週間、あるいは三ヶ月分に匹敵するほど、多くのことを学ぶ機会となりました。私は多種多様な魅力的な講演やワークショップに参加しましたが、その多くは思考を刺激し、好奇心をかき立てるタイトルとテーマに溢れていました。美学、社会学、教育学など幅広い分野を横断する内容は、日常のささやかな現象が、いかにして深い学術的探究へと昇華されうるかを示しており、非常に感銘を受けました。特に、研究者たちが巧妙な実験やアンケートを通してデータを収集し、現象を発見し、理論的メカニズムを解明していく姿に強く刺激を受けました。

そして最後に、開催校である東北学院大学の入口近くに立つ像に刻まれた言葉が、私の心に深く残りました:
「Life, Light, Love」――命、光、愛。
この言葉は、今回の学会の精神を美しく象徴していると感じました。私たちの研究もまた、世界に「いのち」と「輝き」と「意味」をもたらす存在でありますように。(Jiaxin)

https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/jpa2025
 

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